McNeill 2010 「環境史の状況」

J. R. McNeill, 2010, "The State of the Field of Environmental History," Annu. Rev. Environ. Resour. http://www.annualreviews.org/doi/pdf/10.1146/annurev-environ-040609-105431
366ページのまとめから。
1. 自覚的な環境史は1970年代から。物質的、政治的、文化的な環境史に大別できる。
2. 1990年代以降はアメリカ以外の国でも盛んになってきた。
3. 環境史は多くの国で取り組まれるようになってきたが、中東の研究は少ない。
4. 環境史には歴史家にとって伝統的でない視点や訓練を必要とする。
5. 環境史はこんにちの森林破壊や湿地減少への懸念に対してなんらかの文脈を提供できる。また、環境研究の研究者に対して共有資源やさまざまな宗教的教義に関する示唆などの重要な問題を語ることができる。
McNeill は今後の課題として、中東やロシア、海洋、奴隷による農園、1960年以降の東アジアの工業化、資本主義と共産主義の比較、移民、といった研究を挙げています。

なお、J. R. McNeillは『世界史』のWilliam H. McNeillの息子で、最近邦訳が刊行されました。

20世紀環境史

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世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

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世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)

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『つながりの世界史』とでも訳せるでしょうか。

ちなみに、なりゆきから、わたしは350ページにでてくる東アジア環境史学会の創立時からのメンバーでもあります。 http://www.aeaeh.org/membership.htm