横山尊(2009)「明治後期―大正期における科学ジャーナリズムの生成」

横山尊(2009)「明治後期―大正期における科学ジャーナリズムの生成--雑誌『科学世界』の基礎的研究を通して」『メディア史研究』26: 81-106. http://ci.nii.ac.jp/naid/40016887801

はじめに
第一章 科学ジャーナリズムにおける『科学世界』の位置づけ
第二章 『科学世界』にみる科学ジャーナリズムのあり方
 一.その担い手――「専門大家」と「通俗科学者」
 ニ.科学啓蒙のパースベクティブ
 三.科学ジャーナリズムの論理と「科学」性
おわりに

『科学世界』(1907, 1909-1923)は、学術雑誌としての色彩の強い『東洋学芸雑誌』(1881-)や『理学界』(1903-)とは異なり、自然科学関係の科学啓蒙そのものを目的とした。創刊号には寺内正毅陸軍大臣)や牧野伸顕(文部大臣)らが祝辞を寄せ、また「刊行の趣旨」では日清日露戦争の勝利が「科学的智識のシンポ」によることが強調されており、戦後経営という観点から国民全般に科学知識の啓蒙普及が図られた。横山はこの雑誌(あるいは明治後期から大正期における科学ジャーナリズム)の特徴として、想定読者層は多様な階層、科学ジャーナリズムと大学アカデミズムの密接な関連、科学ジャーナリズムという言論空間の独自性の3点を指摘している。