メモ:公害対策基本法における放射能

昭和42年05月17日 坊秀男厚生大臣http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/055/0182/05505170182005a.html

○坊国務大臣 放射能についての御質問でございまするが、たとえば放射能以外にもたくさんの公害の種類がございます。そういったような種類のものにつきましては、基本法については厚生省が主管でございますが、その具体的な公害の種類によりましては、あるいは厚生省と通産省との共管といったようなものも具体的なものには出てくると思います。
 それから放射能につきましては、放射能ももちろん公害の一種、大きな公害でございまして、これの措置は、公害基本法でも措置するということは考えておるのでございますが、何にいたしましても、この放射能というものについては、原子力基本法がございまして、そこでいろいろなことをその基本法に基づいてやっているものでございますから、この公害防止基本法におきましても、放射能はもちろん取り上げて、これは公害ということに規定をいたしますけれども、これに対してその具体的な、どういうふうにしていくかということは、原子力基本法に基づく措置に譲っておる、こういうことでございます。主管は科学技術庁でございます。

昭和45年11月12日 山中貞則総理府総務長官) http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/063/0620/06311120620023a.html

○山中国務大臣 私は担当ではありませんとは申し上げるつもりはありません。公害基本法から排除されておるというだけのことでありまして、原子力公害というものは、われわれが平和利用の分野に限って新しい未来を開拓する場合の非常に大きな分野であると同時に、まだ私たち人類が未知数のものを持って、リスクをある程度持ちながら進む分野でありますから、これは重大な問題でありますので、決して所管外というようなつもりではおりませんし、さらにすでにアメリカ等において問題にされております、主として原子力発電による火力発電の際の熱排水の問題等についても、やがていずれ日本も、九電力がそれぞれ原子力発電の具体的な着手時期に入っておりますので、熱排水の問題等は当然新しい、先どりして準備しておくケースとして、場合によっては典型公害の土壌汚染の次に加えることにまで踏み切ろうかというような議論もいましておるところでありますから、そのようなことも踏まえて、原子力公害は余の所管にあらざるところなりという顔をするつもりはありません。

昭和52年3月15日 石原慎太郎環境庁長官http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/080/0623/08003150623005a.html

○石原国務大臣 おっしゃいますように、確かに放射能汚染というのは一番深刻な汚染でございますし、公害でございますので、これはやはりたてまえからいったら環境庁がこれを所轄事項として管理すべきものだと私は思います。ですが、その調査というものに非常に高度に技術的なものを要するので、一種の例外事項になっているのではないかと思います。たとえば外国の大使館におります日本の武官と申しましょうか、自衛隊から行っております外交官の報告が外務省と防衛庁に同時にもたらされているようでございますけれども、私は、科学技術庁放射能汚染に対する調査をするのは、これは向こうが持っている技術性からして当然だと思いますけれども、しかし、それはやはり科学技術庁だけで管理される情報ではなしに、あくまでも時間的に並行して重ねて環境庁にそれが報告され、並行してアセスメントの中に勘案されるべきものだと思います。

小長谷正明(2009)「スモン―薬害の原点」

小長谷正明(2009)「スモン―薬害の原点」『医療』 https://www.nhocrc.jp/iryo/2009-63-04/63-04-227.pdf
 著者は厚生労働省難治性疾患対策事業「スモンに関する調査研究班」の研究代表者です。本格的な研究がはじまった1964年から6年間の経緯も比較的くわしく紹介されています。とくに国立病院研究班は病因確定にあと一歩まで迫っていました。

ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)

ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)

グラフィック・ドキュメント スモン

グラフィック・ドキュメント スモン

薬害スモン全史 (1981年)

薬害スモン全史 (1981年)

Jackson 2010 「「聖なるダツラ」:喘息たばこの盛衰」

Mark Jackson, 2010, ““Divine Stramonium”: The Rise and Fall of Smoking for Asthma,” Medical History. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2844275/
 喘息治療としての喫煙の歴史を扱った論文です。喘息たばこは古代から用いられていたものの、ヨーロッパでは19世紀はじめにインドからタヅラが持ち込まれて流行しました。その後20世紀に入ると、アレルギーの考え方が現れたことや製薬産業の発展、幻覚作用をもつ薬の禁止、喫煙の健康影響に対する認識のため、徐々に使われなくなっていきました。
 ブログ「身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌」でも取り上げられていました。 http://blogs.yahoo.co.jp/akihito_suzuki2000/60097856.html
 なお、喘息たばこは夏の季語となっているそうです。 http://kotobank.jp/word/%E5%96%98%E6%81%AF%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%B3

Asthma: The Biography (Biographies of Diseases)

Asthma: The Biography (Biographies of Diseases)

McNeill 2010 「環境史の状況」

J. R. McNeill, 2010, "The State of the Field of Environmental History," Annu. Rev. Environ. Resour. http://www.annualreviews.org/doi/pdf/10.1146/annurev-environ-040609-105431
366ページのまとめから。
1. 自覚的な環境史は1970年代から。物質的、政治的、文化的な環境史に大別できる。
2. 1990年代以降はアメリカ以外の国でも盛んになってきた。
3. 環境史は多くの国で取り組まれるようになってきたが、中東の研究は少ない。
4. 環境史には歴史家にとって伝統的でない視点や訓練を必要とする。
5. 環境史はこんにちの森林破壊や湿地減少への懸念に対してなんらかの文脈を提供できる。また、環境研究の研究者に対して共有資源やさまざまな宗教的教義に関する示唆などの重要な問題を語ることができる。
McNeill は今後の課題として、中東やロシア、海洋、奴隷による農園、1960年以降の東アジアの工業化、資本主義と共産主義の比較、移民、といった研究を挙げています。

なお、J. R. McNeillは『世界史』のWilliam H. McNeillの息子で、最近邦訳が刊行されました。

20世紀環境史

20世紀環境史

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)

世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)

Human Web

Human Web

『つながりの世界史』とでも訳せるでしょうか。

ちなみに、なりゆきから、わたしは350ページにでてくる東アジア環境史学会の創立時からのメンバーでもあります。 http://www.aeaeh.org/membership.htm

List of the Focus sections of ISIS

科学史の学術誌ISISの特集Focusを並べてみました。無料でダウンロードできます。
http://www.jstor.org/action/showPublication?journalCode=isis
Textbooks in the Sciences (March 2012)
The History of Scientific Instruments (December 2011)
Alchemy and the History of Science (June 2011)
Between and Beyond “Histories of Science” and “Histories of Medicine” (March 2011)
Performing Science (December 2010)
History of Science and Literature and Science: Convergences and Divergences (September 2010)
New Perspectives on Science and the Cold War (June 2010)
Global Histories of Science (March 2010)
The Emotional Economy of Science (December 2009)
Darwin as a Cultural Icon (September 2009)
Historicizing “Popular Science” (June 2009)
100 Volumes of Isis: The Vision of George Sarton (March 2009)
Laboratory History (December 2008)
Counterfactuals and the Historian of Science (September 2008)
What is the Value of History of Science? (June 2008)
Changing Directions in History and Philosophy of Science (March 2008)
History of Science and Historical Novels (December 2007)
Science and Modern China (September 2007)
Science and the Law (June 2007)
Thick Things (March 2007)
Mathematical Stories (December 2006)
Getting Back to The Death of Nature: Rereading Carolyn Merchant (September 2006)
Biography In The History Of Science (June 2006)
Science and Visual Culture (March 2006)
Museums and the History of Science (December 2005)
Natural Philosophy and Instrumentality (September 2005)
The Generalist Vision in the History of Science (June 2005)
Colonial Science (March 2005)
The Elusive Icon: Einstein, 1905–2005 (December 2004)
Scientific Readers (September 2004)

モード論・メモ

http://en.wikipedia.org/wiki/Mode_2
Nowotny et al. 2003 “Introduction: ‘Mode 2’ Revisited: The New Production of Knowledge,” Minerva ほか Mode 2 に関する論文が寄稿されている。 http://www.springerlink.com/content/0026-4695/41/3/ たとえば、Edqvist はスウェーデンの研究政策で主張されてきたものが、進歩の原動力(1940年代)、問題解決(1960年代)、戦略的機会(1990年代)と変遷しており、モード1は最近台頭しただけのものであることを論じる。

Re-Thinking Science: Knowledge and the Public in an Age of Uncertainty

Re-Thinking Science: Knowledge and the Public in an Age of Uncertainty

  • 作者: Helga Nowotny,Peter B. Scott,Michael T. Gibbons
  • 出版社/メーカー: Polity
  • 発売日: 2001/03/30
  • メディア: ペーパーバック
  • クリック: 1回
  • この商品を含むブログを見る
↑2001年に刊行されたもののペーパーバック。2つの新しい概念を導入する。政治や経済、課題生成や課題解決の場としての「アゴラ」。the knowable context of application を超えた the unknowable context of implication。
現代社会と知の創造―モード論とは何か (丸善ライブラリー)

現代社会と知の創造―モード論とは何か (丸善ライブラリー)

The New Production of Knowledge: The Dynamics of Science and Research in Contemporary Societies

The New Production of Knowledge: The Dynamics of Science and Research in Contemporary Societies

学会名簿についてのメモ

ウェブ検索のはじめのほうにでてきたものを載せてみただけです。
会員に配布: 地震学会 http://www.zisin.jp/modules/pico/index.php?content_id=1129
会員に販売: 日本物理学会4700円 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/jps/pub/meibo-hannpu.html 応用物理学会10000円 http://www.jsap.or.jp/jsap75/meibo_info.html
ウェブで公開: 日本循環器学会 http://www.j-circ.or.jp/information/senmoni/kensaku/senmoni_kensaku.htm 日本消化器外科学会 http://www.jsgs.or.jp/modules/gaiyo/index.php?content_id=9 日本地すべり学会 http://japan.landslide-soc.org/overview/kaiin.html
ウェブで公開(会員のみ): 日本分子生物学http://www.mbsj.jp/secretariat/member/index.html