槌田敦 vs 日本気象学会 損害賠償請求裁判 判決

講演・論文掲載拒否に関する損害賠償請求裁判「槌田敦vs日本気象学会」について、3月18日(木)に東京地方裁判所によって言い渡された判決文が公開されています。
http://env01.cool.ne.jp/global_warming/saiban/100318hanketubun.pdf , http://song-deborah.com/case1/X/100318judgement.pdf (2つは同じ内容です。時間のない方は13ページ以降の「争点に対する判断」を読めばよいと思います。)
また、原告の槌田敦氏と代理人弁護士の柳原敏夫氏による声明が発表されています。
槌田敦http://env01.cool.ne.jp/index02.htm 特に「CO2温暖化を問う2つの裁判報告(4)」 http://env01.cool.ne.jp/global_warming/saiban2/houkoku04.pdf
柳原敏夫氏「速報と報告」 http://song-deborah.com/case1/ ポパーに言及しています。


おそらくこのような裁判はこれまで(少なくとも日本では)存在なかったもののようで、判決文でもこれまでの判例は引用されておらず、裁判所としてはじめての判断が示されたことになるようです。重要そうな文言は以下あたりでしょうか。

「…会員において投稿した論文が被告の機関誌である「天気」に掲載されることを期待することは,法的に保護される利益と考えるのが相当である。」(13ページ)

「…被告の編集委員会に広範な専門的な裁量があると認められるべきである。」(14ページ)

「…仮に当該掲載拒否の理由について,投稿者からみて科学的には異論が十分にあり得たとしても,拒否行為が相応の科学的根拠に基づく以上,不法行為は成立しない。」(14ページ)

なお、以上は『天気』の投稿規定を前提にしているので、ほかの媒体についてそのままあてはまるわけではないでしょう。


一言でまとめると、論文の掲載拒否に関して、裁判所は科学的議論の内容については触れず、拒否行為が科学的根拠の範囲内で行われたということについては判断したと言えると思います。(槌田氏は「判決は「科学論争」の領域内に踏みこみ、 CO2による温暖化説の側に立ったことになる。」と書いていますが、そこまでは言えないのではないでしょうか。)
〔追記: 上のように「判断した」とは言えなさそうですね。kawaseさんのコメントにあるように、一般論の部分で述べられているだけです。〕